症状について

月経期間中に下腹部や腰痛がつらかったり、頭痛や嘔気、下痢などをともなうことがあります。このような状態を「月経困難症」と言います。

月経困難症は「機能性月経困難症」「器質性月経困難症」に分けられます。

「機能性月経困難症」は子宮などに特に異常がなく、月経血が出る子宮の出入り口が狭かったり、月経血を出すための子宮の収縮が過剰に強いために起こるもので、月経の初日から2日目に痛みのピークがあります。月経が始まる初経から2~3年後頃から出始め、15~25歳頃が最も多いといわれています。また、月経に対する不安や緊張も影響すると言われています。

「器質性月経困難症」は、「子宮内膜症」「子宮腺筋症」「子宮筋腫」「子宮奇形」などといった子宮に何らかの原因があって月経痛が強くなる状態のことです。痛みは月経前4~5日から月経後まで続くものが多く、原因とし最も多くそして最近増えてきている病気が「子宮内膜症」です。

「子宮内膜症」は、子宮内膜と同じような組織が、子宮内膜や筋層以外の場所に発生し、ホルモン周期に合わせ出血したり炎症をおこさせるため、強い痛みを引き起こします。生殖可能年齢の女性の3~10%に発症するといわれていて、30代前半で最も頻度が多く150人に一人の女性が子宮内膜症に罹患しているというデータもあります。

子宮内膜症は卵巣に生じると卵巣内に出血がたまって「チョコレート嚢腫」といわれる卵巣嚢腫になります。子宮と直腸の間に内膜症が出来ると、炎症のため子宮と腸管が癒着し性交痛や月経時の排便通を引き起こします。炎症による癒着が卵管周辺に起こると、卵巣からの卵子の取り込みが障害されるので不妊症の原因になります。

また、子宮内膜症は慢性的に炎症が続く病気ですが、内膜症に限らず慢性的に炎症が続くと(例えば虫歯を治療しないまま放置するなど)、将来血管に悪影響を及ぼし心筋梗塞や脳梗塞の発生率が上がるという報告もありますので、現在の月経痛の治療という意味だけでなく将来の健康を守るためにも治療が必要です。

治療法について

治療方法は、痛みの原因としてプロスタグランジン(PG)が関係しているので、PGを阻害するための鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)が有効です。また、過多月経の治療と同様に子宮内膜の増殖を抑えるために、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)も有効です。LNG-IUSも有効ですが、子宮外に病変がある場合は効果が不十分です。

当院では、月経困難の症状が見受けられる方のご相談を承っております。お気軽にご来診ください。